筋肉の基礎と収縮、動き。
筋肉の形の種類。筋肉の収縮についての基礎知識をご紹介。とくに筋肉の収縮と働きの違いは大切だと個人的に思います。
「目次」
1骨盤力と筋肉
足腰は筋肉とも関係が深く、ポイントは筋肉と姿勢反射です。
姿勢反射とは一定の姿勢をとると関連部分の筋肉が自動的に反応して姿勢を保持しようとする働きです。赤ちゃんの反射から大人の反射まで緊張性迷路反射、緊張性頸反射、立ち直り反射、前庭脊髄反射などが知られています。
また、これは姿勢反射と呼んで良いのか分かりませんが、骨盤力のセルフケアを指導していて体の動かし方のコツというものがあります。たとえば小指を伸ばすと腕全体〜肩周辺までが伸びやすくなったり、人差し指〜小指までの4指を反らすと腕が伸びやすくなったりの反応です。足腰ではくるぶしに刺激を入れると足首の底背屈に制限がかかったり、逆に踵を巧打すると足首の底背屈が動きやすくなったりの現象が現実に起こります。
骨盤力の指導ではこれら姿勢反射から反射と呼んで良いものか分かりませんが現実に起こる反応までをリスト化して、骨盤力の矯正に応用しています。筋肉に力を入れて姿勢を保持することは持続しません。姿勢反射とその仲間みたいな反応を利用すると自然な骨盤力と姿勢の矯正が可能になります。
骨盤力と筋肉の応用。
現実に起こる様々な反応の一部です。
目の前のものは伸びやすくなる。
骨盤力ストレッチでは伸ばしている先を見るようにします。また骨盤力整体では体重や腕力で筋肉に圧をいれるのではなくて深く圧を入れたいときは目線の位置でコントロールします。遠くを見るようにすると筋肉の深い部分に圧が入ります。武術と同じです。
目の後ろは縮みやすくなる。
上記とは反対でたとえば後頭部に腕を持っていくとその腕は曲がりやすくなります。この現象を利用して骨盤力ストレッチに活かします。
親指から拳を握ると力が入らない。
逆に小指から握ると力が入り、骨盤が閉じていると下丹田も緊張します。これを逆手にとってあえて親指から握り力が入りにくい状況を作ってから骨盤力を高める方法もあります。
小指と薬指の付け根部分に刺激を入れつつ手首を回内&肘関節の伸展を行う。
これは原理は全く不明ですが首の回旋の動きが改善されます。頭を右方向に回旋させると(早い話が右を向く)首筋や肩に痛みが出たり動きの範囲が狭いなどのときに右手を上記のことを行うと不思議と完全されます。首の動きの効果を引き出すために骨盤力を高めておきます。骨
股関節を屈曲させ膝を外回しにすると大腰筋の動きが良くなる。
股関節を90度以内まで屈曲させて(膝を胸に近づける動き)膝を外回しにします、このときに軽く抵抗をかけます。次に打ち回しを行います。すると大腰筋の出力が高まります。おそらくPNFストレッチで使うテクニックで経時誘導の原理が働いているのではと思います。
そのほかにも多くの反射がありますが全てに共通していることは姿勢が良くないとこれらの反射は引き出せないことです。姿勢の力は偉大だなとつくづく思います。
2筋肉の基礎、収縮と動き方
筋肉の基礎
- 筋肉は横紋筋・平滑筋・心筋の3種類があります。
- 横紋筋は骨格について動かす働きをします。別名骨格筋 通常われわれが筋肉と言っているのはこれ、自分の意思で動かせることができる随意筋とも分類されます。
- 平滑筋と心筋は消化器や呼吸器官・血管壁などにある筋肉で別名「内臓筋」とも呼びます、意思によって動かすことは出来ません、自分の意思で動かせたら大変です。自律神経にてコントロールされています。
骨格筋の役割
人体には役400の骨格筋があり体重の半分を占めています。骨格筋の役割には以下のようなものがあります。
- 骨格(関節)の運動
- 収縮によって熱を発生して体温をあげる
- 収縮によって静脈・リンパ管を圧迫して還流を促進する(筋ポンプ)
細長い円柱状の筋繊維(筋細胞)が集合してひとつの束を形成しています。この束は筋周膜に覆われています。この束のことを筋束(きんそく)と言います、そのままの名前ですね。筋束はいくつかの集合体で構成され筋上膜で覆われています。
3筋肉の形の種類
![]() 紡錘状筋 |
![]() 羽状筋 |
![]() 半羽状筋 |
![]() 多羽状筋 |
筋肉の付着部の呼び方
- 一般的に筋肉の両サイドは違う種類の骨に付着しています、同じ骨に付着していたら筋肉は動けません。
- この2つの付着部のうち、身体の中心に近い方、または両サイドの筋肉の付着部で動きの小さい方を「起始」と言います。「停止」とは身体の遠位部分、または動きの大きい方の事を指します。
筋肉が力を発揮する収縮様式には幾つかの種類があります。
4筋肉の収縮
アイソメトリック(等尺性収縮)
- 筋肉の収縮によって張力が発揮するが、筋肉の長さは変化しません(関節の動きなし)静的収縮とも言います。
- 重たい物を持ってじっと動かないでいる時等です。
アイソトニック等張性収縮 動的収縮とも言う
筋肉の長さが変化しながら収縮する状態です。これには2種類の形態があります。
コンセントリック コントラクション
- 縮みながら収縮、主動筋が短くなりながら負荷抵抗よりも大きな力を発揮する筋収縮。
- 重力や負荷に対抗して何か動きを得る時に生じる、正の収縮とも言う
- 重たい物を持ち上げるときです。
エキセントリック コントラクション
- 伸ながら収縮する、拮抗筋1,5倍位の力が出ます。
- 筋肉は大きな負荷によってゆっくりと引伸ばされながら力を発揮する。
- 大きな重力や負荷抵抗をコントロールする時に生じ、負の収縮とも言う。
- 重たいものをゆっくりと下に降ろすときなどです。
5筋肉の働き
主動筋
関節を動かすために主に働く筋肉です。
拮抗筋
関節をはさんで主動筋の反対方向にある筋肉、これが無いと関節が動いても元に戻せなくなる。
固定筋
関節の周囲にあります、そして筋肉が力を発揮する時にその周りをしっかりと固定したり、緩んで余分なエネルギーを逃がしたりします。
共同筋
主動筋と一緒に動いて働きを助けます、大きな力は発生しませんが微妙な動きのコントロールを助けます。
写真を見て理解しましょう、いま手に持った重たいものを肘を曲げて持ち上げようとしています、力こぶの筋肉(上腕二等筋)が肘関節を屈曲させて物を持ち上げています。
上腕二等筋がメインに働きますから主動筋となります。力こぶの反対側にある上腕三等筋が拮抗筋となります。肩の周りの筋肉群が固定して腕が力を発揮しやすくしています、固定筋。
上腕二等筋が真っ直ぐ上下運動が出来るようにその周りの小さな筋群(上腕筋・腕橈骨筋など)がスタビライザーの役目をします、共同筋。
これらの筋肉名は実際にある筋肉の名称ではなく、機能につけられた名称です。