2018年2月22日
北海道旭川市、女性の柔道整復師が一人で切り盛りする小さな接骨院。
上西育実さん 柔道整復師 1級プロ骨盤力アドバイザー WebSite>>>
整骨院であと10年は逃げ切れると思った。しかし。体力的な問題、家族の問題、そして接骨院をとりまく保険診療の規制、締め付け。保険財源の枯渇。つまるところは私の力不足が招いたのだろうけど、この接骨院の仕事寿命をすごく短く感じるのです。その思いはこの1〜2年特に強くを感じるのです。
そして何よりも二人の子どもに言われた一言。それが今の私を大きく変えようとしています。
このインタビューは一人の女性が、離婚、まだ小さな子どもを二人抱えて、縁もゆかりもない治療のお仕事に身を投じ、そしてつかんだ小さな幸せの物語です。
人生の節目節目に訪れた危機的状況とも言える事に、素直な気持ちで取り組む。そして今がある。その素直力(すなお力)はきっと参考になるはずです。
北の大地、北海道旭川市の外れにある小さな接骨院
北海道旭川市から電車に乗って3つ目の駅にその接骨院はあります。女性の柔道整復師が一人で切り盛りする小さな接骨院です。
接骨院の経営は全国的にも厳しい状況で、すでに接骨院の数はコンビニよりも上回っており、保険診療を頼りにしたビジネスモデルは破綻の兆しがあります。そのためか多くの接骨院経営者は保険に頼らない自費診療に切り替えたいと考えているようです。
しかし今まで百円単位しか支払わなくて済んだものが、いきなり数千円を請求されたら患者さんは一気にいなくなってしまうでしょう。ここに経営者の苦悩があるようです。今回の主役の上西育実さんも同じ思い、いや危機感を感じていたのです。接骨院は生まれ変わる必要性をです。
しかしこうも思った。
あと10年は逃げ切れる。それまで頑張って頑張ってなんとか乗り切りたい。だって私を信頼して接骨院に通ってくださる患者さんには本当に感謝している。だからこそ私が頑張らなければならない。だけど具体的にはどうしたらよいか見えない。
体力的にも、時間的にも、家族的に厳しい・・・でも私が頑張るしかない! いいえ家族のために頑張らねばならない。接骨院で10年乗り切る方法とは? いったいそれは・・・
離婚の養育費は柔道整復師の学費だった!
柔道整復師?
そんなものには縁もゆかりもなかったです。それまではハウスマヌカン(自社製品を着用して販売に当たるブティックの女性店員。)をやって来て、やがて結婚。子どもは小1と2歳の子を授かり、そこで離婚です。
小1と2歳の子を抱え離婚
コンビニ弁当作るパートなどしかやったことがなかった結婚時代。そこに子ども二人を連れて放り出された。
しかも養育費の代わりに、手に職をつけてこいとの優しい思いやりなのか???ですが、柔道整復師の学費と交通費をいただき、必死に勉強して手に職をつけた。
それにしても養育費の代わりに手に職をつけろと学費を出すって? そして思ったのはその提案を素直に受けて勉強を頑張った、素直に受け止める純粋な心。
柔道整復師の勉強は、自分で選んだわけではないけど、人に喜んでもらえる仕事なので良いかなと思ったそうです。そうやって札幌の学校に3年通った。
そして地元で接骨院を開業したそうです。
ここで失礼を承知で、素朴な疑問が出たので聞いてみました。「開業資金はどうしたのですか?」
ちょうどその時、接骨院をたたむ人がいたので安く機材を譲り受けたそうで無事に開業! 頑張って頑張って接骨院を女手一つで切り盛りし、なんとか軌道に乗って来た。とその時!!!
道路の拡張で立ち退き命令 行くところがない!
もうインタビューしている方がハラハラドキドキするような展開です。小さな子ども二人を抱えての出来事ですよ。するとここで別れた夫、養育費の代わりに手に職の学費を出した元夫が再び登場!
元夫が持っている場所があってそこを貸してもらえた。
素直というか釈然としない気持ちなのか。ともかくそこで開業。もちろん家賃はしっかりと元夫に収めます。なんかすごい展開になってきた。
すごい展開なので、ここまでを整理すると
ブティックで販売の仕事 > 結婚 パートでコンビニ弁当を作る > 子ども二人を授かり離婚(小一と2歳) > 養育費の代わりに学費と交通費。> 試験合格、地元で接骨院を開業も安く機材を譲り受けることが出来、無事に開業。> 道路拡張で立ち退き > 元夫が登場し所有する不動産に移転、元夫に家賃を収める。
そんなかんなで、15年間接骨院をやってきたそうです。すごすぎる!
しかし離婚しているのに、元夫に家賃を払って繋がっている自分が嫌。その気持ちは終始離れなかったそうです。(そりゃそうやろ)そして離婚当時小さかったお子さんは今、29歳と23歳に立派に成長。お母さん頑張った!
お母さん「やりたい事やってないよ。やりなよ!」
ふたりの子どもから言われたそうです。この言葉の重みは当事者でなければ本当の意味は分からないのかも知れません。これまで頑張って頑張って接骨院を切り盛りしてきた。元夫に家賃を収め続けてきた。私を頼ってくれる患者さんたちに勇気をいただいてきた。そして苦労をかけてきたお子さん二人も立派な成人に育った。
お母さん「やりたい事やってないよ。やりなよ!」「らしくないよ!」
やりたい事ってなんだろう。
接骨院の経営も出来れば続けたい。家族の事もいろいろあるのでそちらも絡んでくる。結婚前にやっていたブティックでの販売の仕事。美しいものを提供するような仕事もしてみたい。ハワイが好きでフラダンスも学んでそんな事にも興味があるし、「やりたい事やってないよ。やりなよ!」と言われて選択肢が増えて逆に迷ってしまった。これって嬉しい悲鳴なの?
大好きなフラでチャリティ。ちょっとだけ誇らしいかも。
そのような時に一人の人物が上西さんの前に現れます。
その方は上西さんにこう切り出しました。「このスタジオ。どうしても上西さんに買ってもらいたいの」アトリエを主催されているデザイナーの女性です。接骨院の患者さんでもあります。
「あなたに自立してほしい」
「治療も含めてお世話になっている」
「だからこそあなたに買ってもらいたい」
余計な御世話ですが、破格の条件だそうです。
ここまでインタビューを進めてきて
上西さんは人生の節々で必ず人が現れています。
- 離婚するから手に職を付けてこい。学費は出してやる(養育費の事)
- 接骨院を開業するときに、接骨院をたたむ方が現れ安く機材を譲ってもらえた。
- 道路拡張、お上の命令で立ち退き。元夫が再び登場。家賃を元夫に収める事に。
- 二人のお子さんから「お母さん、らしくないよ」と未来を考えるきっかけをもらい。
- 未来を考え暗中模索していると「だからこそあなたに買ってもらいたい」という人が現れて。
それらの出会いを上西さんは素直に受け止めてきたからこそ、今があるのではないかと思うのです。上西さんは友達から「騙されやすいよね」と言われた事もあります。しかし誰かが上西さんを騙そうとしている時は、別の誰かが現れて事は収まっている。上西さんが気づく事もなく。
素直に受け止める。インタビューを通じてもうこれは素直力(すなお力)だと強く感じました。
素直力(すなお力)
上西さんはインタビューでこう話してくれました。
私に出来ない事は相手も言ってこない。出来そうな事だから相手が言ってくる。だから私は出来るんじゃないのと良い方向に勘違いする私がいる。
そして今
上西さんは骨盤力を学んでくれました。個人コンサルも受けてくれて未来への設計図も試行錯誤しながら考えています。目標はお子さんに言われた一言。お母さん「やりたい事やりなよ!」
接骨院からのシフト 不安は大きいです。
不安の元は 接骨院の経営と骨盤力の二つのことをやり始めて時間がなくなった事です。だから小さくしたい。コンパクトにしたい。だけどどうしたら良いかが見えない。不安。骨盤力を学んだのは時期尚早だったのか?
一言で言うと接骨院主催のイベント(勉強会)を定期的に開催しましょう。です。そこで可能性を感じてくれたら、そして何よりも普段から心がけている患者さんへの愛が伝わってくれたら、次のクラスの進んでくれる。この動線を引く事で、接骨院の経営は今までと同じでよく、唯一行う事は
- イベントを月1回〜2回程度の開催と、その上のクラスの開催で月に数時間を確保する事。
- 既存の患者さんに勉強会のチラシを渡す。友達も誘ってください。の一言を添える事。
それだけです。あとは全て骨盤力で準備済みです。勉強会では上西さんが好きな事、こだわってきた事を自分の言葉で喋れば良いです。ファッションの事、ハワイの事、治療の事、もしかしたら離婚の事も。カッコつけて良い事を喋ろうなどと考えずにありのままの自分でOKなのです。
お母さん「やりたい事やってないよ。やりなよ!」
「うふふ、やってるわよ ♪♪♪」
そう言える日も近いでしょうね。