体幹とは?
体幹ってよく聞くけど、場所の事なのか、動きのことなのか、それともトレーニングメニューのことなのか? 体幹っていったい何の事でしょうか?
体幹とは体(ボディ)の事を言いますが・・・
2つの体幹があります。
- 広い意味での体幹 > 胴体の事です。これに手足、首がついています。さらに胴体は胸、腹、腰の3エリアに分ける事ができます。
- 狭い意味での体幹 > 腹腔(お腹)の事です。これは横隔膜、骨盤底筋群、腸腰筋、腹横筋で囲まれた空間で横隔膜を使って腹式呼吸を行うために進化しました。2億5千万年前のことです。詳しくはこちら、体幹はこうやって生まれた!横隔膜の誕生〜腹式呼吸への1億年の物語
体幹の役目は主に4つ
- 内臓を収める。
- 腕を動かす補助として肩甲骨を収める。
- 脚を動かす土台として骨盤を収める。
- 頭を首でつなげるため。
腕を動かす補助として肩甲骨を収める。
腕を動かす補助。例えば腕を真上に挙げるときは1/3が肩甲骨、2/3の動きが腕の関節の動きとなります。
重いものを持つときは肩甲骨の周りの筋肉が緊張して肩甲骨を動かないように固定して安定して重いものを持てるようにします。固定筋作用と言います。
ピアノを弾くなどリズミカルな動きのときは肩甲骨の周りは緊張を緩めて肩甲骨が自在に動けるようにします。これによって腕の動きによる負担を肩甲骨でも逃します。協同筋作用と言います。腱鞘炎などで腕を故障しやすい方はこの協同筋作用が低下している事がほとんどです。早い話が肩こりです。
脚を動かす土台として骨盤を収める。
骨盤が受け皿のように上半身を受け止めています。さらに歩いたり座ったりするので股関節が肩甲骨や背骨と一緒に働いて動きのなかでも安定を保ちます。
二本足で立つ、このときは股関節が重要な役割を持っています。脚が内側を向くと股関節はあえて動きにくくなり体幹がブレないようにします。逆に脚が外側を向くと股関節は動きやすくなり体幹が動きやすいようにします。
体幹は胸、腹、腰の3つのエリアで分けられます。
胸は肋骨で中身を守っています。腹は筋肉で中身を守っています。腰は骨盤で中身を守っています。お腹に骨が無がなくて筋肉で中身を守る理由としては2つ考えられます。
- 横隔膜を使って呼吸するためと、
- 食後と妊娠時にお腹を膨らませたいから。
お腹が膨らまなかったら食べたものが上に積み上がり「オエっ!」てなります。着物の着付けでは直後に食事をする場合は着付け方を変えるように、食後はお腹を横に膨らませたいために筋肉で守っています。
お腹は満腹時は横に広がり、空腹時は縦に伸びる。これがウエストのくびれを作る原動力になりますがこれは姿勢でも変化します。写真。
体幹の正しい状態とはこのイラストです。
- 上半身は風に揺れる枝葉のように肩の力が抜けるなどリラックスしていること。
- 足腰は根っこのように引き締まっていることです。
体幹は不安定
なぜなら頭が一番上にあるから。
頭は重さが体重の7〜10%はありその重たい頭が一番上にあります。もっとも重たいものが一番上にある。これは建築の世界ではあり得ない事です。なぜなら揺れにも弱くなるからです。東京タワーも民家もてっぺんを軽く作ります。しかし人間は頭が重たい・・・体幹は不安定なのです。
体幹は不安定だから頭の位置が重要です。
重たい頭が一番上にある事で体幹は不安定になりやすい、だからこそ頭の位置は重要です。頭を下げてしまうと腰の位置にあるべき重心が肩甲骨付近に移動し、骨盤が緩み腹腔(横隔膜、骨盤底筋群、腸腰筋、腹横筋で囲まれた空間、つまりお腹)が圧迫されます。これをへっぴり腰と言います。
スポーツでも武道でも日本舞踊でも、ダンスでも、モデルウオークでも重心は腰の位置にある事が基本中の基本です。
体幹は不安定だから骨盤の角度も重要です。
骨盤が後傾すると猫背になりますし、前傾すると反り腰になってしまいます。頭の位置も狂いますから体幹はますます不安定なります。
壁に沿って立ち、頭、背中、お尻、かかとを壁につけます。次に腰と壁の隙間を手のひら0.5枚〜1.5枚の幅を目安に骨盤を前後に傾けて一番しっくりくるポジションを見つけます。
体幹は不安定だから坐骨で座るようにしましょう。
さらに体軸と頭を一直線にしましょう。頭は重たいのでここはポイントです。猫背で座ってしまうと背中が丸くなり肩甲骨が外側に広がってお腹は横に広がりつつ圧迫されます(お腹に手を当てると分かります)これが呼吸を浅くします。
また猫背で座ると直腸と骨盤底筋に負担をかけてしまいお通じにも影響を与えます。
体幹を正しくつかうコツ
体幹と作業位。
作業位とは肘を軽く曲げて、肩の力も抜いた姿勢の事です。
- 肘をピンと伸ばして字を書きません。逆に肘を大きく曲げて書くと姿勢が悪いと言われます。
- 包丁を握るときも、「作業位」で必ず行います。
- 車のハンドルを握るときも「作業位」で必ず行います。自転車も同様です。
- 握手するときも。
手で何かを行うときは肩の力を抜いて、肘を軽く曲げた「作業位」で必ず行います。これは特に重要です。
体幹と肩の力を抜くこと
肩の力を抜くと指先の感覚が鋭くなります。
ポケットに小銭を何枚か入れます。10円玉、50円玉 、100円玉を適当に。そして手をポケットに突っ込んで50円玉を取り出してみましょう。指先で50円玉の穴の感覚を頼りに探すはずです。50円玉を探っているとき、あなたの肩の力は抜けているはずです。逆に肩に力が入ると指先の感覚は鈍ります。
体幹と指先
4本指はきちんと閉じて揃えます。特に小指は重要です。
小指が活きていると下腹に力が入ります。ストレッチのときも小指はとても重要な役割があります。小指を意識するだけでストレッチの効果は跳ね上がります。
体幹の正しい動かし方
腰から動いて手が後からついてくる。
体幹には肩甲骨と骨盤があります。これは手足を動かす補助の役割があります。その動きにはいくつかの原則があり代表的なものが腰から動いて手が後からついてくる。です。
フラダンスはもちろん、スポーツでも武道でも、日本舞踊でも腰から動いて手が後からついてくる原則で動きます。この時に作業位も重要です。作業位は肘は軽く曲げる、これが指先の繊細な動きを引き出します。優雅な所作を決めるには作業位と体幹の動かし方です。
姿勢が良いと腹筋が縦に伸びて、体幹(胴体)の動ける範囲が3割も増えます。
代謝は筋肉が多くを占めており、姿勢はダイエットとも関係が深いのです。さらに筋肉が一番緩む時は筋肉を使った後なので、肩こりや腰痛にも良い影響を与えますね。
姿勢が良いと、体の動ける範囲が3割も増えて代謝UP。筋肉も緩んで肩こりや腰痛の改善につながる。
素晴らしい事だらけですが、実は・・・問題も起こります。逆に体を壊してしまう可能性があるのです。しかも低くはない確率で・・・
なぜ姿勢が良いのに、体が動きやすいのに、体を壊してしまうのでしょうか?
体幹の正しい動かし方が関係しているのです。
例えば野球の始球式。 アイドルの女性がピッチャーになってボールを投げる。
ボールはキャッチャーまで届かない事が多いです。 オーディションや舞台に合わせて、厳しいトレーニングを積んでいるのにボールは届かない。
これは筋力が弱いなどの問題ではなくて、体幹の使い方が間違っているからです。
体幹の正しい使い方を伝えると、あっさりとボールはキャッチャーまで届きます。実際にお伝えした子達はすぐに出来ました。
体幹の正しい使い方は、日常生活のあらゆるシーンで出てきます。
スマホを操作するとき、キーボードを打つとき、字を書くとき、エレベーターのボタンを押すとき、車の運転をしているとき、 自転車に乗っているとき、冷蔵庫の扉を開けるとき、靴を履くとき、玄関のドアを開けるとき・・・
もちろん体幹の正しい使い方を知らなくても普通に生活できます。しかし、体を壊しやすい可能性はあります。
何気なく行っている動き、それが正しい体幹の動きなのか否か。毎日のことが積み重なると良くも悪くも影響は小さくないです。
体幹の正しい使い方。原則は3つですがとりあえず次を意識してください。
歩く時は手足が交互に出る。右手が前、左足も前。ですね。これをドアを開けるときにも意識してください。骨盤がドアに正面に向きます。これが出来ていないとぎっくり腰の原因にもなります。
ぎっくり腰になった方が口を揃えて言うのが、何気ない動きで「バキッ!」と来たです。これも体幹の正しい動きが関係しているのです。