
腰痛
根本治療法を追求していく為には、いきなり腰痛になるのでは無く(事故や怪我などを除いて)、日常の生活の中で様々な要因が重なり、時間的、病変的変化を経て腰痛に発展していくことを認めることです。指針整体スクールは腰痛は進化すると考えています。
個人個人の身体的特徴と日常の生活習慣などによってその人特有の「弱い部分」に負担が掛かり、ある人は筋、筋膜性腰痛に、またある人は椎間関節性腰痛に、そしてまたある人はヘルニアにと、様々な種類の腰痛に発展していくことです。ヘルニアだからヘルニアを治療するのではなくヘルニアになってしまった原因を治療することが整体では大切です。
腰痛への進化の過程として最も多い血行不足を取り上げ、その変化の過程を説明します。
進化する腰痛
(血行不足から始まった腰のだるさが構造的な腰痛に進化するまでの一例*慢性であり事故、怪我、内臓疾患系の腰痛を除きます。)
1-疲労
疲労すると血行が悪くなり、「疲労物質」が溜まります、この段階では自分自身でケアしていけば(休養やストレッチなど)問題ない。生理作用が機能している証拠、身体が休みたいから疲れると考えるべきです。
2-不自然な動き
人間本来の自然な動き(注1 原始姿勢反射)から大きく外れた動きで、無理をしたり不意の動きで腰を痛めることが多い。スポーツ障害など。お年よりの圧迫骨折もここに入る。
関連トピックス⇒(注1 原始姿勢反射)
歩くときは手と足が交互に出る。
物を押すときはお尻を後ろに引いて押す
物を引っ張るときはお尻を前に突き出すなどの本能的に自然な動き
3-血行不足
日々の疲れをずーっと蓄積していくと、血行不足から筋肉は衰えてきます。また痛みをかばい、必要以上に動かさないでいると筋肉はどんどん衰えてきます。
身体に感じる現象例⇒動かすのがだるい、一日の疲れが抜けない。など
血行不足では筋肉内に疲労部質(乳酸)が蓄積されます。慢性となると発痛部質(ブラジキニンなど)が筋肉中に溜まり、痛みが出ます。
血行不足が招く腰痛の例
朝起きた時、「腰が痛い」、起きて暫く動いているとそのうち痛みが取れてくる。 寝ている時に血行が悪くなっています。動いていると血が巡ってきて、痛みが取れたと考えられます。
昨日重たいものを持って今日「腰が痛い」。筋肉中に疲労物質が溜まり、血行不足(注2)が手伝って発痛物質が発生、腰痛となります。
整体を受けると、患部の血行が良くなり筋肉がほぐれてくる為、痛みは取れてきます。しかし自分自身の力で血を流せる能力を回復させる事が、根本の治療となります。第三者に悪い血を流してもらっても、30分も歩けばまたそこに悪い血が溜まってきて元に戻ってしまいます。
関連トピックス⇒血行不足
動脈は血管自身の拍動で「血」を送り出す能力を持っています。静脈は血管壁も薄く血管自身の力で「血」を送り出す能力は低い。静脈は、動脈に寄り添うようにして走っており動脈の拍動の力と,筋肉の動き(筋ポンプ)に助けられて静脈内の「血」は流れる事が出来ます。
毛細血管、血行が悪いと、毛細血管内に「血」が溜まりいろいろと悪さをします。毛細血管を通らなくても動脈と静脈の間にはバイパスがある為、全体の血流には問題なくても、毛細血管内には悪い血が溜まった状態で慢性化します。
血の巡りが悪くなっている場所に、効果的に血を流し、痛みの元を洗い流す必要があります。
疲労物質、発痛物質ともに、過労を防止させる身体の防衛機能と考えられます、たまに疲れたり、痛んだりするのは身体の正常な証拠です。身体が休みたいから疲れると考えるべきです。ゆっくりと休む、睡眠をしっかりととる、ストレッチで筋肉をいたわる、温めのお風呂にゆっくりと入る、などで今日の疲労を明日に持ち越さないようにすることが大切。
4-衰えた筋肉
日々の疲れをずーっと蓄積していくと血行不足から筋肉は衰えてきます。庇うようになるから筋肉は衰えが速くなり、痛いとよけいに使わなくなります。使わないから ますます衰えてきます。
筋肉が衰えると、硬くなって筋張ってきます。
「伸筋」と「屈筋」の筋出力バランスが狂ってきます。
「アウターマッスル」と「インナーマッスル」の機能バランスが崩れてきます。
身体に感じる現象例⇒腰がだるい、鈍痛がある。通勤中に痛くなってくる。朝起きると腰が痛い。イスに座っていると痛くなる。
余談ですがバランスが慢性的に崩れた場合、筋肉中の特定のラインに(経絡に沿って)スジのようなシコリが出来ます。私の患者さんに肉屋の社長がいらっしゃいますが、牛肉をさばく時にお肉の中にスジっぽい部分があり、そこは売り物にならない為包丁で切取って捨てるそうです。(なぜか豚肉は滅多に見ないと言っていた)まさにこのようなスジが出来ているのでしょうね。(病変的には筋,筋膜炎 / 結合織炎)
5-骨盤が変位してくる
常に腰が痛い、長時間立っていられない、座ってられない、腰を捻ると痛い、ぎっくり腰をよく起こす。これらは骨盤が変位していることが多い。
身体に感じる現象例⇒この辺から痛みの質が変わってくる、鈍痛、疼痛から指すような痛み、シビレなど、歩きが困難、排尿障害など

左から順に男性に多い腰痛姿勢骨盤後傾、正常、若い女性に多い腰痛姿勢
骨盤前傾
指針整体スクールの症例では、例外もありますが、男性ではハムストリング、若い女性では腸腰筋が縮んできます。筋肉に引っ張られて、骨盤の位置がずれ姿勢が変化してきます。構造的な腰痛の始まりです。これに左右の差も加わってきます。(このページでは左右差も述べるとややこしくなるので省略します。)
骨の歪みが先か?筋肉の歪みが先か?
このテーマは鶏と卵どちらが先か?と同じで決め付けてしまうことに問題があると思います。
老人性の骨棘は加齢とともに骨に出っ張りのようなものが出来てきますが、これは骨密度の低下や刺激によって反応性に骨増殖が起こった結果ですが、別の説によれば硬くなった筋肉の動きをセーブする為の防御反応として骨棘が形成され、関節可動域をわざと狭くしていると唱えている学者もいらっしゃいます。ケースバイケースではないでしょうか。
6-さらにひどくなった腰痛
ヘルニア、スプラングバック、分離症、変形性脊椎症、坐骨神経痛、その他色々な「ひどい腰痛」がありますが、共通している事は(事故を除いて)いきなり「ひどい腰痛」には、ならないと言う事です。
これらの「ひどい腰痛」は、先ほど説明した、筋肉中の発痛物質による痛みとは少し違います。多少の違いありますが、基本的には軟部組織(筋肉、神経、靭帯、血管など)に硬いもの(硬化した筋肉、骨など)が常に当たり、他に逃げ場もないので、擦れて慢性的な炎症を起こしていることが原因となります。その当たる場所や当たり方の違いによって色々な腰痛の診断名がついていることになります。 普通は逃げ場がある(注3)
関連トピックス⇒普通は逃げ場がある(注3) (大切なラセンの動き、連動性)
爪先 → 膝 → 股関節 → 腰椎 → 肩 → 首へと身体の動きはラセン状に連動していきます。しかし連動性が悪いと、一部に引っかかりや障害が発生して「腰痛」や「肩こり」、「膝痛」などが出やすくなります。
連動とは、「しなやかな筋肉、靭帯、関節など」によってもたらされます。人間の身体はロボットではありません、骨や筋肉は少しくらい「でこぼこ、引っ掛かり」があるのが普通です、「でこぼこ、引っ掛かり」をしなやかに吸収する能力を、身体は持っています。
分かり易い例があります。「脊椎分離症」これは背骨後ろの出っ張りが分離骨折しています。
ショッキングですが、実は多くの人が持っています。(人口の7~8%、学生時代スポーツをやっていた人30%エスキモーでは遺伝的に40~50%の人がこの分離を持っています。)しかし普通は症状がない(痛みがない)のが殆どです。なぜでしょうか? 痛みの原因は擦れて慢性的な炎症である事が多い、分離した部分は、筋肉と靭帯という天然のサポーターで保持されています、また身体はスムーズに爪先から首までしなやかに連動していきます。逃げ場があるとはこの事です。
ところが筋肉が硬くなったり、関節の可動域が悪くなってくると、このしなやかさが無くなってきて弱い部分(分離部分)に常に負担がかかり、痛みとなってくるのです。身体の自然な動きが、きちんと出来るようにする事の大切さが分って頂けると思います。
まとめ
整体を受けると筋肉中の疲労物質は流されて、軽くなります。しかし自分自身の力で疲労物質を洗い流す能力を回復させておかないと、しばらくすると元の状態に戻っていしまいます。
腰痛の原因だけを考えるのではなく、「何がどのようにしてこうなったのか?」を考えるようにし、傷みを取るだけではなく、「傷みが出ない身体に変化させる」。「少々傷みが出ても自分自身でケア出来る方法を伝え、理解実践してもらう。」以上をもって完了するような整体施術を心がけたいものです。
整体師の教科書 提供 指針整体スクール
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